2025年4月、政府は特定技能外国人による訪問介護業務への従事を認める制度改正を実施しました。
それから約1年。
介護業界では深刻な人材不足が続く中、外国人ヘルパーが新たな戦力として注目を集めています。
今回は、制度開始から見えてきた現状と、今後の可能性について整理してみたいと思います。
深刻化する訪問介護の人手不足
訪問介護業界では以前から慢性的な人手不足が続いています。
公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、ヘルパー不足を感じている事業所は9年連続で80%を超えています。
特に、
- 高齢化の進行
- ヘルパーの高齢化
- 若年層の介護離れ
などが重なり、訪問介護事業所の閉鎖も全国各地で発生しています。
介護サービスの維持そのものが難しくなっている地域も少なくありません。
特定技能外国人も訪問介護に従事可能に
こうした状況を受けて、厚生労働省は2025年4月から対象を拡大しました。
これまで訪問介護に従事できたのは、
- 介護福祉士
- EPA介護福祉士候補者
など一部の外国人材に限られていました。
現在は、特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人も
一定条件のもとで訪問介護に従事できるようになっています。
訪問介護には厳格な条件も
ただし、訪問介護は施設介護と異なり利用者宅へ単独で訪問します。
そのため国は一定の条件を設けています。
主な要件として、
- 介護分野で1年以上の実務経験
- 事前研修の実施
- 同行訪問による教育訓練
- 緊急時対応体制の整備
などが求められています。
単に人手不足だから受け入れるのではなく、サービス品質の維持も重視されている点が特徴です。
現場では既に活躍が始まっている
兵庫県の訪問介護事業者では、インドネシアやミャンマー出身の外国人ヘルパーが実際に利用者宅を訪問しています。
日本語によるコミュニケーションや生活支援を行いながら、高齢者から高い評価を受けているケースも報告されています。
当初は外国人ヘルパーへの不安を感じていた利用者も、
「仕事が丁寧」
「会話に問題がない」
「日本人スタッフと変わらない」
と評価する声が増えているようです。
外国人介護人材は急増している
出入国在留管理庁の統計によると、
特定技能「介護」で就労する外国人数は、
2025年末時点で
67,871人
に達しています。
わずか5年前と比較すると約72倍となり、急速に拡大しています。
国籍別では、
- インドネシア
- ミャンマー
- ベトナム
が中心となっています。
今後も介護分野の外国人受入れは拡大していく可能性が高いでしょう。
受入れ企業が注意すべきポイント
一方で、人材確保だけに目を向けることは危険です。
労働基準監督署による調査では、特定技能外国人を雇用する事業所の多くで労働法令違反が確認されています。
主な違反内容として、
- 残業代未払い
- 違法な時間外労働
- 労働条件通知の不備
などがあります。
外国人材を受け入れる以上、
①適正な労務管理
②適切な支援体制
③日本語教育
④定着支援
が今後ますます重要になります。
今後の介護業界は外国人材なしでは成り立たない時代へ
介護業界の人材不足は今後さらに深刻化すると予測されています。
その中で、外国人材は「補助的人材」ではなく、
介護サービスを支える重要な担い手
へと変化しつつあります。
採用だけではなく、
育成・定着・キャリア形成まで見据えた受入れ体制を構築できる事業者が、今後の介護業界で生き残っていくことになるでしょう。


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