外国人材の受入れ拡大が進む中、出入国在留管理庁が特定技能制度の運用を大きく見直しています。
2026年より、特定技能の在留資格申請において提出される日本語試験の合格証について、申請者全員を対象とした照会確認が開始されました。
これまで一部確認にとどまっていた運用から大きく変わる内容であり、今後の特定技能申請実務にも影響を与える可能性があります。
なぜ全件照会が始まったのか
今回の運用変更の背景には、日本語試験合格証の偽造問題があります。
2025年、大阪府警は偽造された日本語試験の合格証を使用して特定技能の在留資格を取得していたベトナム人らを摘発しました。
調査の結果、偽造合格証が複数流通していたことが判明し、特定技能制度の信頼性そのものが問われる事態となりました。
これを受け、出入国在留管理庁は2026年1月より、全ての申請者について試験運営団体へ合格状況を照会する運用へ切り替えています。
特定技能には2つの取得ルートがある
特定技能1号を取得する方法は大きく分けて2つあります。
技能実習ルート
技能実習を良好に修了した外国人が試験免除で移行する方法です。
試験ルート
以下の2つの試験に合格して取得する方法です。
・日本語試験
・各分野の技能評価試験
近年は試験ルートによる取得者が急増しています。
制度開始当初は技能実習ルートが大半を占めていましたが、現在では試験ルートによる特定技能取得者が全体の約半数にまで増加しています。
入管が確認する日本語試験とは
現在、主に確認対象となる日本語試験は以下の2種類です。
・日本語能力試験(JLPT)
・国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
申請時に提出された合格証について、入管が直接運営団体へ照会し、合格の事実確認を行います。
そのため、
「偽造された合格証」
「第三者が作成した不正書類」
は、今後ほぼ発覚すると考えられます。
技能試験も全件確認へ向かう可能性
さらに入管は、日本語試験だけではなく、各分野の技能評価試験についても全件照会を行う方向で関係省庁と調整を進めているとされています。
対象分野には、
・介護
・建設
・外食業
・飲食料品製造業
・農業
・自動車運送業
などが含まれます。
今後は提出書類の真正性確認がより厳格になることが予想されます。
企業側も注意が必要
今回の運用変更は外国人本人だけの問題ではありません。
採用企業や登録支援機関にとっても重要なポイントです。
もし不正書類による申請が発覚した場合、
・在留資格不許可
・在留資格取消し
・採用計画の見直し
・企業イメージの低下
などのリスクが生じる可能性があります。
特に海外現地採用を行う企業については、提出される試験合格証や証明書の確認体制を改めて見直す必要があるでしょう。
今後求められるのは「書類の信頼性」
特定技能制度は今後も拡大が見込まれています。
一方で、不正利用を防ぐための審査は確実に厳格化されています。
これからは、
「申請書を提出すれば通る」
時代ではなく、
「提出書類の信頼性を証明できるか」
が重要な時代になっていくでしょう。
企業、登録支援機関、送り出し機関のすべてが、より適正な運用を求められる時代に入ったと言えそうです。
まとめ
今回の全件照会運用は、特定技能制度の信頼性向上に向けた大きな転換点です。
今後は日本語試験だけでなく、技能試験についても確認が強化される可能性があります。
外国人採用を進める企業にとっては、採用スピードだけでなく、提出書類の正確性や信頼性を確保する体制づくりがますます重要になるでしょう。


この記事へのコメントはありません。